事故を教訓に、安全対策が義務付けられた防火ドア。作動時に何を注意するか、同時にどんな安全対策がとられているか知っておくと、いざという時スムーズに避難できるでしょう。今回は、防火ドアの注意点とともに事故を防ぐために導入された安全対策についてご説明します。
防火ドアの注意点
<防火ドアの役割と特徴>
防火ドアは火災時に延焼を食い止めるだけでなく、安全な避難経路を確保する役割も担っています。防火ドアのうちでも特定防火設備は、1時間以上火災を遮断する必要があります。そのため、扉部分に鉄製を用いるケースが少なくありません。
<避難時に求められる「冷静な行動」>
建築基準法によれば、特定防火設備に使われている鉄板は1.5mm以上の厚さを求められます。この規定を満たす扉はかなり重くなるので、万が一避難中に慌ててドアを閉めた際、指などを挟んでしまうとケガをする恐れもあります。それでも、左右に開閉するスイング式はゆっくり動くため手で押さえることは難しくありません。それに対しシャッター式は頭上から降りてくるので、その点を考慮して使用する必要があります。
防火ドアは炎を遮断する性能が欠かせないため、頑丈な構造になっています。火災時にも、この点をふまえながら落ち着いて行動することが大切です。
事故防止のための安全対策とは?
現在の防火設備は、避難者にケガを負わせないため建築基準法にもとづき危害防止措置が取られています。
<危害防止措置が導入された背景>
危害防止措置は、小学校で起きた事故をきっかけに導入されました。2004年、シャッター式の防火ドアが誤作動したため児童が挟まれてしまったのです。それまでも同様のトラブルは続いていましたが、小学校の事故によりシャッター式の問題点に注目が集まります。翌年には「危険防止機構」の設置が義務付けられ、各種の安全対策が講じられました。
<防火ドアの安全対策>
シャッター式の防火ドアに施された安全対策は、作動中に何かが接触したとき一時停止する機能です。この措置により、シャッターが降りているとき避難者が通過しても挟まれるリスクは減りました。そのほかの防火ドアについても、運動エネルギーの上限が設定されています。規定の数値を守るためには、ドアが重いほど動作スピードを遅くしなければいけません。
現在は防火ドアの安全性が増しているので、きちんと定期点検をクリアしていれば大きな事故を招かないと期待できます。
まとめ
火災時は、安全を確保するため迅速な行動が求められます。それでも、慌ててしまうとどんな不測の事態が起こるか分かりません。防災設備が以前より安全になったとはいっても、鉄扉との接触などを避けるため十分に注意しながら避難する必要があります。
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