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  • 2019/07/10

    受け継がれて400年・鹿沼組子

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    栃木県の鹿沼地方は、古くから木工建築の建具や建物を多く生み出した地域として有名です。近くには世界遺産でもある日光東照宮があり、この建築に使われた彫刻技術を源流に持つといわれるのが、鹿沼組子です。400年の歴史のなかで育まれてきた伝統技術。今なお、多くの和風住宅の建具製造にその技術が生かされています。今回は、その起源にスポットを当てながら、鹿沼が生んだ組子技術の魅力に迫ってみます。

    鹿沼組子の歴史
    一説によると、鹿沼組子は江戸時代、日光東照宮の造営にたずさわった職人たちによって伝えられた技術が発祥といわれます。江戸幕府の威信をかけた一大プロジェクトということで、当時全国から腕の立つ職人たちが集められたといわれます。彼らの多くはその後日光に隣接する鹿沼地方に移り住み、互いに技術を競いながら伝統の技を磨き、後世に伝えたとのことです。
    鹿沼は江戸時代から木工建築が盛んな地方で、建具や彫刻などの分野で活躍した職人を多く輩出しました。杉やヒノキといった良質な木材が集まる地理的条件も、木工技術を発展させた要因のひとつです。微細で荘厳な模様が特徴的な市の文化財・彫刻屋台もそのような環境で誕生したといえます。江戸時代のお祭りで使用された、黒漆塗りの屋台は、鹿沼組子の原点ともいわれます。パーツを組んでいく工法を駆使して、幾何学模様を生み出す微細な技術が継承されていきました。

    鹿沼組子の特徴
    鹿沼組子の特徴は、何といっても美しい幾何学模様です。木曽ヒノキ、秋田杉、日光杉などを小割にした材料を幾何学的に組み付け、華麗なデザインに仕上げます。美しい花やいきいきとした生活風景を模様として描き出すその技術は、400年以上受け継がれてきた歴史の厚みを感じさせます。
    漁師が投げ網をする様子を描き出した「鹿沼組子書院障子」は、県の伝統工芸品に指定され、多くの組子障子にその意匠が使われています。大きな引き網が富士山にかかるように描かれ、それを巧みに操る漁師の姿が印象的です。釘ひとつ使わず見事な立体感を生み出す技法は、まさに職人技の極致といえるでしょう。

    まとめ
    江戸時代から受け継がれ、400年もの歴史を誇る鹿沼組子。日光東照宮の建造にたずさわった職人たちが鹿沼に集い、技術を錬磨してきたことで生まれたといわれます。精緻な技術が生み出す幾何学模様の世界には、職人たちの探求心と遊び心も垣間見られます。書院障子や欄間などの和風建具の存在感を引き立たせる伝統技術は、今なお健在です。

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