組子は木の建築文化とともに発展してきた伝統技術。日本ならではの文化的背景がなかったら、幾何学模様の建具デザインは陽の目を見なかったかもしれません。今回は、木造文化の観点から組子の魅力について語ります。
日本に根付いた木造建築の文化
組子細工はじめ、日本の伝統工芸は木材を扱ったものが目立ちます。つまり木工技術の発展抜きに、日本の伝統を語ることはできません。
往々にして建築文化は地域の気候や風土、歴史や宗教観、自然観などの影響を受けながら形成されます。西洋に代表される石造り文化、日本に代表される木造文化の対比を見ても明らかでしょう。
私たちが神社を参拝するとき、森閑とした樹木の山道を歩き高い石段を上がった先の本殿を目指すことになります。伊勢神宮や八幡宮といった古社に限らず、大抵の神社は自然と一体化するように建てられ、自然の一部として溶け込んでいます。これは自然との共存、自然との融和を目指してきた日本人の自然観からくるものと考えてよいでしょう。
日本人にとって身近な素材であった木は、住居や建具の素材としても活用されました。単に精神的な結びつきの強さだけでなく、夏の暑さを避け地震被害のショックを緩和するうえでも木は適性ある素材でした。実利的にも精神的にも木は日本人にとって身近だったからこそ重宝され、伝統工芸を育む土壌となりました。
遮り、通して、魅せる。組子の機能性と外観美
木の建築文化は、住居の内と外、部屋と部屋の間を曖昧に仕切る空間を可能としました。太陽の光を採り込める襖や障子、欄間に代表される建具は、間仕切りとして機能しつつ、外側との連絡を残す造りとなっているのが特徴です。連続性を維持しつつ室内の空間は守られています。縁側の概念も、内と外を曖昧に仕切る木の建築文化ならではの発想です。完全に閉じた居住空間を基本とする西洋の建築様式とは決定的な違いがあります。
組子は釘を使わず、一本一本の細木を柔軟に組み合わせて障子や欄間のデザインを表現します。幾何学模様で美を演出しながら、通気や採光を可能にするのは、精巧な木工技術だからこそできる芸当です。
見て楽しめる組子建具は、住まいの快適性も約束。美と用を兼ねた建具の優等生ともいうべき存在です。
まとめ
組子は木造の建築文化が発展した日本ならではの伝統技術です。その魅力は一言では語れないほど。ABE KOGYOでは、千五百年の歴史を持つ組子技術を駆使して彩りある住まいの提供に努めています。
【組子特設サイト】
https://www.abekogyo.co.jp/kumiko/
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